北海道からブラジルへと移民した姉・ハルと一人日本に取り残された妹・ナツの、海を越えて引き裂かれた70年に及ぶそれぞれの波乱万丈の人生を描いた大河ドラマ。2005年、ついに日本に帰国したブラジル移民の高倉ハル(森光子(森光子 饰) )は、生き別れになっていた妹・ナツ(野際陽子 )と70年ぶりの再会を果たす。しかし、製菓会社の社長にまで上り詰めたナツはそんなハルを冷たく拒絶する。失意のハルは孫・大和(今井翼 )に、貧困にあえぐ北海道での暮らしから脱するために家族全員でブラジルへの移住を決意するも、ナツと離れ離れになってしまった70年前のいきさつを語り始めるだった。NHKの放送80周年を記念して制作された橋田壽賀子のオリジナル脚本による今作は、平成編と昭和編が交錯しながら展開されていく。姉・ハル役を斉藤奈々 、米倉涼子 、森光子、妹・ナツ役を志田未来 、仲間由紀恵 、野際陽子のそれぞれ3人がリレーして演じていく形式は、同じく橋田脚本作である『おしん』と同様。新天地に裏切られ続けた日系ブラジル移民としてのハルが苦難の道のりの末に得た喜びと悲しみ、戦中戦後の激動の日本で運命に翻弄されながらもたくましく生き抜いていったナツがたどり着いた光と影は、互いに書き送りながら届かなかった手紙によって次第に紐解かれていく。異なった境遇の二人の人生がそれぞれの日本人史として浮かび上がってくるあたりは、長編ドラマならではの見ごたえである。コーヒー園や当時の住居をリアルに再現した2ヶ月に及ぶブラジルロケの効果は絶大で、壮大なスケールのドラマに更なる真実味を与えている。